ファーストアルバム(「にっぽん劇場写真帖」森山大道・寺山修司)

写真が好きな人なら、その名前は必ず知っているであろう写真家、森山大道氏のデビュー作。
現在、新装版も手に入るが、初版は1968年・昭和43年、室町書房。

最近、その初版本を見せて頂けるという、機会があった。

簡素なダンボール外ケースを外すと、これまた簡素な、ぐにゃりとしたソフトカバーの布張り表紙(勝手に初版はハードカバー本だと思い込んでいたので驚いた)。

経年劣化した、セピア色の紙に印刷された寺山修司氏の文章から始まり、いよいよ森山大道氏の写真。
別の本で、展覧会で、新刊本で、何度も何度も見た「にっぽん劇場写真帖」の写真たち。

「これがホントにデビュー作、ファーストアルバムなのか!?」
と、分かっているのに、その写真の力強さに改めて驚く(この驚きを確認したいから初版本を見たかった、というのもある)。

この時代の写真集やカメラ雑誌の質がそれほど良くない印刷が、この時代の写真にはすごくはまっている。
正直「オリジナルプリント」よりも雑誌のグラビア印刷の方が迫力を感じることも多い。60〜70年代のRockは、ハイレゾ音源よりもレコードやテープの方が似合うのと同じだろう。

音楽でも小説でもそうだけど、一作目というのは、作家のそこまでの人生、経験、時間の全てをかけて作られる(と思う)ので、これを超える、というのは本当に大変だと思う。
でもそれが、ファースト作品を感じる楽しみでもある。

ファースト、一作目、初版本。
この勢い、はいつも忘れたくないな。


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