「人と自然がつくるもの」〜「風がつくるもの」大橋弘写真展 2015年2月4日-3月2日

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「風がつくるもの」大橋弘写真展、お越しくださった皆様ありがとうございました。
1週間ほど時間が経ち、やっとヒトト店内もいつもの様子に戻ってまいりました。
風がつくるもの」は、2014年6月に開催しました大橋弘さんの写真展「壺中の天」に続いての、日本の伝統的な食べ物、をテーマにした写真展でした。
「壺中の天」が『発酵』をテーマにしていたのに対して、「風がつくるもの」は『乾物・干物』がテーマ。
ご縁があって表参道かぐれ、との共同開催というヒトトとしても珍しい形になりました。
ヒトトの展示写真は、へそ大根、凍みこんにゃく、凍み豆腐、氷下魚、大門素麺、切干大根、棒鱈、フカヒレ等々。
6月の「壺中の天」と2月の「風がつくるもの」。
これは両方共「人と自然がつくるもの」という点では、共通しています。
その地方の素材で、時間に淘汰されてきた伝統的製法でつくられたもののみ。これは大前提です。
面白いのは、暖かくなり自然では菌達が元気に活動する6月の「壺中の天」は「発酵」つまり菌を増やすことによって食べ物を保存しようとしているのですが、2月の「風がつくるもの」は一年で一番寒い季節に吹く風によって「乾物」つまり菌が増えない状態にすることによって食べ物を保存してきたのです。
全く逆の方向性で、対になる方法で、先達は食べ物を大切にしてきた。
この2回の写真展を通して、初めて口にした食材も多かったのですが、どれも日本の豊かさを実感できる確かな、まっとうな食材でした。
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期間中の2月25日には、大橋さんと陸田幸枝さんをお迎えして、スライドトークを開催しました。
今回の写真展に展示した作品は撮影されたカットの中の本当に一部。スライドトークでは、現地取材の際の様々なカットを交えて、実際に取材をされた時の陸田さん大橋さんのエピソードに皆さん笑いっぱなし。何度聴いてもこのお二人の掛け合いは(笑)。
当日ご提供したおつまみは、「丸柚餅子」「がぜ味噌」「氷下魚」「鮭燻製」「岩のり」。
日本酒は福島の『風が吹く」。
どの食材もこのイベントの為にお二人のご協力で手に入ったものばかりでした。
写真展の期間中、ヒトトのメニューの中にも何点か写真に写っている食材を取り寄せて、使わせてもらったのですが、問合せの連絡をすると何件かは「後継者不足」ですでに作ることをやめてしまった、という食材がありました。
無責任に「続けて欲しい」と言うことはできませんが、私自身は、海外から持ち込んだものを無理やり日本で作って珍しがるよりも、日本の風土にあった食材を大事にしていきたいと思っています。
ヒトトでご提供していた「風がつくるものメニュー」、何と大橋さんから『今度オレが写真撮ってやるよ!」と有難いお申し出を頂き、最終日の3月2日、クロージングパーティーの際に、数品、撮影して下さいました。
私やスタッフは嬉しくて撮影中涙目(笑)。いつかその写真も見て頂けたら、と思っています。
一ヶ月続いた写真展の最後は、大橋さん、陸田さん、ヒトトの関係者やご家族が集まり、クロージングパーティー。
ヒトトスタッフ皆が「風がつくるもの」食材を使って作る料理の数々。
クライマックスは北海道爾志郡の「大判岩のり」(45x90cm)を使った海苔巻き!
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大橋さん、ヒトトオーナーの奥津、ヒトト店長でなんとか巻き上げました。
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北海道の厳寒の海でとれた海苔の混じりっけのない風味と分厚い食感は、「海苔は海藻」ということを思い出させてくれる滋味深い味わいでした。
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大橋さんが何度も繰り返し仰るセリフ「美味いもんは美しいんだよ!」
大橋さんは本当に美味いなあ、美味そうだなあ、と思って撮ってらっしゃるからこそのあの写真が生まれるんでしょうね。
いやしかし、日本はやっぱり広いですよ。というか自分はまだなんにも知らない。
大橋弘さん、陸田幸枝さんという先輩方が見せてくださったその作品・仕事の質と量。
それを、もっと多くの方に知ってもらいたいし、伝統的製法の食材を次の世代にちゃんと残していきたい。
まだまだこれから。
楽しく美味しく続けていきますよ。